受注した商品、今どこまで進んでいますか?

― 納期回答が「担当者頼み」になってしまう理由
お客様から、
「この商品、いつ入りますか?」
「この注文、予定どおり出荷できますか?」
と問い合わせを受けることがあります。
一見すると、販売管理システムで受注データを確認すれば答えられそうです。
しかし実際のアパレル業務では、そう簡単ではありません。
受注台帳には注文内容や納期が登録されていても、商品がまだ入荷前だったり、工場で製造中だったりすると、システムに登録されている情報だけでは正確な回答ができないことがあります。
今回は、なぜ納期確認が「担当者に聞かないと分からない」状態になりやすいのかを考えてみます。
「納期を確認する」だけでも、見る情報は意外と多い
お客様から納期について問い合わせがあった場合、担当者は受注台帳だけを見ているわけではありません。
主に確認するのは、
受注状況 → 発注・生産状況 → 納期 → 在庫 → 出荷状況
といった情報です。
さらに、生産中の商品であれば、
裁断 → 縫製 → 検品
のどこまで進んでいるのかを確認することもあります。
在庫があればすぐに出荷できるかもしれません。
しかし、まだ製造中なら工場の進捗確認が必要です。
すでに出荷済みなら、今度は出荷状況を確認する必要があります。
つまり、「この商品はいつ届きますか?」という一つの質問に答えるだけでも、商品の状態によって確認する情報や確認先が変わるのです。
入荷予定の商品にも、すでに行き先が決まっている
さらに複雑になるのが引当です。
引当とは、現在庫やこれから入荷する商品を、特定の受注分として確保しておくことです。
例えば、まだ入荷していない商品10枚があったとします。
その10枚がすでにA社の受注に引き当てられていれば、入荷予定が10枚あるからといって、別のお客様へ自由に販売できるわけではありません。
ここで新たにB社から注文が入り、A社よりもB社の納期の方が早かったらどうするでしょうか。
場合によっては、
A社への引当をいったん外し、B社へ付け替える
という判断をすることがあります。
もちろん、A社の納期に間に合わなくなってはいけません。
そこで、次回の入荷予定を確認したり、仕入先へ問い合わせたりしながら判断します。
単純に、
「在庫が何枚あるか」
だけでは納期回答ができない理由がここにあります。
足りなければ「分納できませんか?」と仕入先へ確認する
予定数量がすべて揃わない場合でも、納期に間に合わせる方法があります。
例えば10枚必要なのに、予定どおり用意できるのが5枚だけだったとします。
その場合、仕入先や工場へ、
「5枚だけ先に納品できませんか?」
と分納の相談をすることがあります。
仕入先から、
「5枚なら○日に出荷できます」
「残りは○日になります」
という回答が来れば、その情報をもとに得意先へ納期を回答できます。
ところが、ここで別の問題が出てきます。
その回答、担当者のメールにしかありません
受注台帳や発注データは、販売管理システムに登録されている企業が多いと思います。
そのため、
「何を何枚受注したのか」
「どこへ何枚発注したのか」
「現在の納期はいつなのか」
といった情報は社内で共有できます。
一方で、仕入先や工場との細かなやり取りはどうでしょうか。
例えば担当者には、こんなメールが届いているかもしれません。
「生産が少し遅れており、全数入荷は18日になりそうです」
「10枚のうち5枚であれば先に出荷できます」
「現在縫製中で、10日に検品予定です」
こうした情報は、担当者個人のメールの中に残っていることが少なくありません。
販売管理システム上の納期が「15日」のままでも、担当者はメールで「18日に変更」と知っている。
すると、担当者本人なら正確に回答できますが、別の社員が販売管理システムを見ても最新状況が分かりません。
受注情報は共有されている。
でも、受注に関する「最新のやり取り」は共有されていない。
これが、納期回答が担当者頼みになってしまう大きな原因の一つだと思います。
システムにデータがある=情報共有できている、ではない
販売管理システムを導入すると、受注・発注・仕入・売上・在庫など、多くの情報を共有できるようになります。
しかし、実際の仕事はシステムの中だけで完結しているわけではありません。
電話があります。
メールがあります。
仕入先との交渉があります。
工場からの予定変更もあります。
そして、こうした**「伝票になる前の情報」**が、実際の納期判断では非常に重要です。
システムに受注データが入っているからといって、必要な情報がすべて共有されているとは限らないのです。
もし、メールと販売管理システムがつながったら?
ここからは、私たちが今後実現したいと考えている仕組みです。
例えば、販売管理システムで発注データを選択します。
すると、その発注について仕入先とやり取りしたメールをAIが確認し、
「9/7 仕入先より回答。全数入荷は9/18予定。10枚中5枚は9/12に分納可能。現在縫製中、9/10検品予定。」
といった形で最新状況を要約して表示する。
これができれば、担当者本人でなくても状況を把握できます。
重要なのは、AIに勝手に納期を決めてもらうことではありません。
AIには、
メールを読む
↓
関連する発注を見つける
↓
やり取りを要約する
↓
販売管理システムで共有する
ところを手伝ってもらう。
そして、
「どのお客様を優先するのか」
「引当を付け替えるのか」
「分納を依頼するのか」
といった判断は人間が行います。
この役割分担が現実的ではないかと考えています。
「伝票を共有する」から「仕事の経緯を共有する」へ
これまで販売管理システムは、受注・発注・仕入・売上・在庫といった確定した情報を管理することが中心でした。
しかし実際の業務では、その確定情報に至るまでに多くのやり取りがあります。
「納期が遅れそう」
「一部なら先に出せる」
「現在は縫製中」
「検品が終われば出荷できる」
こうした情報まで共有できれば、担当者が休んでいても、別の社員がお客様へ回答しやすくなります。
そしてこれは、単なる便利機能ではありません。
情報が個人のメールや頭の中に閉じ込められている状態から、会社の情報として共有できる状態へ変えることにつながります。
販売管理システムもこれからは、
「伝票を保存するシステム」から、
「仕事の経緯まで共有できるシステム」へ。
AIと販売管理システムを組み合わせることで、そんな仕組みを実現できるのではないかと考えています。
次回は、
「店舗・EC・卸の在庫を別々に管理すると何が起きる?」
について書いてみたいと思います。
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