売上と在庫がズレる原因

売れているのに在庫が減らない? 売上と在庫がズレる原因

アパレル企業の現場では、

「売上は上がっているのに在庫が減っていない」
「商品はもう出荷しているのに、まだ売上になっていない」

といったことがあります。

一見すると、入力ミスやシステム不具合のように見えます。

しかし実際には、出荷した日と売上を計上する日が違う店舗の売上データが本部に届くまで時間差がある委託販売なので出荷時点では売上にならないなど、業務上の理由によって意図的にズレているケースも少なくありません。

今回は、アパレル企業で実際によくある「売上と在庫がズレる理由」を紹介します。


目次

出荷日と売上日は、必ずしも同じではない

商品を倉庫から出した日を、そのまま売上日とするとは限りません。

例えば9月1日に自社倉庫から商品を出荷して、得意先の店舗に9月3日に到着する場合があります。

このとき、得意先の店舗に商品が到着する**「店着日」**を売上伝票の日付とする企業があります。

すると、

9月1日:商品を出荷
9月3日:売上を計上

となります。

商品そのものは9月1日に倉庫からなくなっていますが、売上は9月3日です。

つまり、在庫が動くタイミングと売上が発生するタイミングが最初から違うわけです。


「先付日付」で売上日を後ろにすることもある

さらに、得意先との取引条件によっては、意図的に売上伝票の日付を後ろにする場合があります。

いわゆる**「先付日付」**です。

例えば、得意先の締日が毎月20日だったとします。

20日に商品を出荷して、そのまま20日付で売上を計上すると、今回の締めに含まれます。

一方、売上伝票の日付を21日にすると、翌月の締めに回ります。

その結果、得意先から見れば支払時期を1か月後ろへずらすことができます。

この場合も、

出荷日は20日、売上日は21日

となるため、在庫と売上の動くタイミングは一致しません。

システム上の日付が違うからといって、必ずしも間違いではありません。

取引条件や商習慣を理解したうえで管理する必要があります。


店舗では売れているのに、本部ではまだ在庫がある

店舗を持つ企業では、さらに売上データの連携時間によるズレがあります。

店舗のPOSで登録された売上を、夜間バッチで本部へ送信する運用があります。

夜間バッチとは、その日のデータを夜間にまとめて処理する仕組みです。

この場合、店舗ではすでに商品が販売されていますが、本部の販売管理システムに反映されるのは夜間処理のあとです。

その間、本部から見ると、

システム上:在庫あり
店舗の現物:すでに売れて在庫なし

という状態になります。


閉店間際の販売が翌日に登録されることもある

もっと現場寄りの例もあります。

店舗の閉店間際に商品が売れた場合、すぐに売上データを本部へ送らず、商品の下げ札についている半券を保管しておく運用があります。

半券には、バーコードや販売価格などの情報が入っています。

翌日、その半券をハンディターミナルで読み込み、本部へ売上データを送信します。

この場合、商品は前日にお客様へ渡っています。

しかし、本部のシステムに売上が登録されるのは翌日です。

ここでも、現物の動きとシステム上の売上に1日のズレが発生します。


委託販売では、出荷しても売上にはならない

アパレル業界では、委託販売も珍しくありません。

例えば、自社倉庫から百貨店や販売店へ100枚の商品を送ったとします。

通常の販売であれば出荷と売上が近いタイミングになることもありますが、委託販売では違います。

100枚を委託先へ送った時点では、まだ売れていません。

商品が置いてある場所が、

自社倉庫 → 委託先

へ変わっただけです。

つまり、その100枚はまだ自社の在庫です。

その後、委託先から「30枚売れました」という販売実績が届いた時点で、30枚を売上として計上します。

残り70枚は、委託先に置いてある自社在庫として管理します。

このような運用では、出荷した数量と売上数量はまったく別のものとして考えなければなりません。


催事では、返品が終わってから売上が確定することもある

催事販売になると、さらに分かりやすい例があります。

例えば、催事会場へ商品を300枚委託出荷したとします。

この時点では、300枚すべてを売上にはしません。

催事が終了して、売れ残った50枚が戻ってきたとします。

そこで50枚の委託返品を入力します。

すると、

300枚 委託出荷
− 50枚 委託返品
= 250枚 売上

となります。

つまり、実際に何枚売れたかが確定するのは、催事が終了して返品数量が分かったあとです。

商品を出した時点と売上が確定する時点には、大きな時間差があります。


売上と在庫がズレているからといって、すぐ異常とは限らない

売上と在庫を確認していて数字が合わないと、

「入力漏れではないか」
「システムがおかしいのではないか」

と考えてしまいがちです。

もちろん、実際に入力漏れや処理ミスが原因の場合もあります。

しかしアパレル業務では、

店着日での売上計上
先付日付
店舗から本部へのデータ連携時間
委託販売
催事終了後の売上確定

など、業務上正しい理由でズレることがあります。

大切なのは、単純に「数字を一致させる」ことではありません。

いつ商品が動いたのか。
いつ売上として確定したのか。
今、その商品は誰の在庫なのか。

この3つを分けて管理することです。


システム化で重要なのは「日付」と「在庫の状態」

販売管理システムを作る際も、単純に「売上を入力したら在庫を減らす」という仕組みだけでは対応できない場合があります。

出荷日、店着日、売上日、委託出荷日、返品日。

さらに、

自社在庫なのか、
店舗在庫なのか、
委託在庫なのか。

こうした情報を正しく持つことで、初めて実際の業務に合った在庫管理になります。

売上と在庫の数字が一時的にズレていること自体が問題なのではありません。

そのズレの理由をシステム上で説明できること。

これが、在庫管理ではとても重要だと考えています。

URL:https://note.com/apparel_innet/n/n10fbd3a31aeb

次回は、
「受注した商品、今どこまで進んでいますか?」
について書いてみたいと思います。

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