なぜアパレル企業の在庫は合わなくなるのか?システム会社が現場で見てきた5つの原因

「システム上では在庫があるのに、商品が見つからない」

「棚卸をすると、どうしても在庫が合わない」

アパレル企業のシステムに携わっていると、こうしたご相談をいただくことがあります。

在庫が合わないと、最初に疑われるのは販売管理システムです。

もちろん、プログラムの不具合が原因になっていることもあります。

しかし、実際に調べていくと、それだけではありません。

システム上のデータと現物の商品が、違うタイミングで動いていた。

そんなケースが少なくありません。

今回は、私たちが実際の現場で経験してきた「在庫が合わなくなる原因」をご紹介します。


目次

原因① お金が動かない「在庫移動」は入力が遅れやすい

売上を入力すると「売掛」が発生します。

仕入を入力すると「買掛」が発生します。

つまり、お金に関係する処理なので、売上や仕入の入力は比較的きちんと行われます。

ところが、商品を移動するだけの場合はどうでしょうか。

アパレル企業では、

  • 本社倉庫 → 店舗
  • 倉庫 → プレス屋
  • 店舗 → 店舗

といった商品移動が日常的に発生します。

これらは商品自体は動いていますが、その時点で売上や仕入が発生するわけではありません。

そのため、

「商品は先に動かして、システムへの入力はあとで」

となりやすく、場合によっては入力そのものを忘れてしまいます。

これが在庫差異を発生させる大きな原因の一つです。


原因② 営業担当者が知らないところで商品を動かしている

実際にあったケースです。

営業担当者がお客様に商品を確認していただくため、「サンプル」として商品を持ち出すことがあります。

本来であれば、システム上に「営業担当倉庫」という在庫場所を設け、

本社倉庫 → 営業担当倉庫

という在庫移動を入力します。

ところが、営業担当者が商品を持ち出したことを入力担当者に伝えていなかったらどうなるでしょうか。

現物は営業担当者が持っています。

しかし、システム上では本社倉庫に商品があることになっています。

そして出荷のために倉庫でピッキングしようとしたとき、

「システムでは在庫があるのに、現物がない」

ということが初めて分かります。

システムの在庫計算が間違っているわけではありません。

システムに記録されないまま、現物だけが動いていたのです。


原因③ 在庫が自社倉庫だけにあるとは限らない

アパレル業界では、商品が必ず自社倉庫に入荷するとは限りません。

例えば、商品がプレス屋へ直接入荷することがあります。

そこでプレス加工を行い、ビニールを掛け、そのままプレス屋で在庫として保管するケースもあります。

つまり、会社が所有している商品であっても、現物は社外に存在しているわけです。

ここでも問題になるのが情報の時間差です。

営業担当者は、

「商品はもうプレス屋に入っています」

と把握している。

しかし、プレス屋からの報告が遅れていて、システムにはまだ入力されていない。

すると、

現物の状態とシステム上の状態に時間差が発生します。

在庫管理では、商品がどこにあるのかだけでなく、

「現物が動いたという情報が、いつシステムに反映されるのか」

も非常に重要です。


原因④ 商品は入荷しているのに、仕入がまだ入力されていない

仕入にも時間差が発生することがあります。

商品が入荷した時点では、まだ仕入金額が確定していないケースがあるからです。

そのため、実際の運用では、仕入先から請求書が届いて金額が確定してから仕入入力を行うことがあります。

この場合、

現物はすでに存在しているのに、システム上ではまだ仕入入力されていない

という状態が発生します。

これは単純な入力忘れとは違います。

業務上の理由によって、現物とシステムへの登録タイミングがずれているのです。

こうした時間差があることを理解せずにシステム上の数字だけを見ると、

「在庫がおかしい」

ということになってしまいます。


原因⑤ 伝票削除やイレギュラーな入力、システム側の問題

もちろん、すべてが現場の運用によるものではありません。

在庫が合わないと連絡をいただいた場合、私たちはまず、

仕入 → 売上 → 移動 → 返品

という順番でデータを確認していくことが多いです。

それでも原因が見つからない場合は、入力伝票のタイムスタンプも確認します。

タイムスタンプとは、実際にそのデータを登録・更新した日時の記録です。

例えば、通常とは違うタイミングで入力された伝票がないかなどを確認していきます。

そして、もう一つ見落とせないのが、

「伝票の削除」

です。

一度正しく入力されていた伝票が後から削除されていることも、在庫が合わなくなる原因になります。

さらに、システム側を調査すると、

  • プログラムの不具合によって、見る画面によって在庫数が違う
  • お客様ごとに異なる在庫引当のルールを、システム導入時に十分ヒアリングできていなかった

といったケースもあります。

在庫差異が発生したときには、

「現場が入力を間違えた」

とも、

「システムがおかしい」

とも最初から決めつけず、現物とデータの動きを一つずつ確認することが大切です。


在庫を合わせるために大切なルール

では、どうすれば在庫差異を減らせるのでしょうか。

私たちが大切だと考えているのは、非常にシンプルなルールです。

「伝票がない商品は動かさない」

ということです。

基本的な流れを、

システムへ入力する

伝票を発行する

伝票と一緒に商品を動かす

とします。

伝票があるということは、すでにシステムへの入力が済んでいるということです。

このルールを徹底すれば、

「現物だけが先に動いて、システム上の在庫が取り残される」

という問題を防ぎやすくなります。


在庫精度は「システム」と「運用」の両方でつくる

在庫が合わないと、

「もっと高機能なシステムにすれば解決するのでは?」

と考えてしまうことがあります。

もちろん、システムで防げることはたくさんあります。

しかし、どれだけ正確なシステムを導入しても、入力せずに商品だけを動かしてしまえば、システムはその事実を知ることができません。

一方で、現場が正しく運用していても、プログラムの不具合や要件の認識違いがあれば、正しい在庫を表示できないこともあります。

だからこそ、在庫精度を高めるためには、

システムと現場運用の両方を見ること

が重要だと私たちは考えています。

在庫が合わないときには、単に数字を修正して終わらせるのではなく、

「現物とデータは、どの時点でズレたのか?」

を調べる。

その原因を見つけて、一つずつ改善していく。

地道ですが、それが在庫精度を上げる一番の近道ではないでしょうか。


インネット株式会社では、アパレル企業の現場で実際に起きている課題をもとに、販売管理・在庫管理・受発注・EC連携・業務自動化などについて発信していきます。

次回は、「Excelでの在庫管理、どこまでなら大丈夫?」をテーマに取り上げる予定です。

記事URL

https://note.com/apparel_innet/n/n8216ca9e5380

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