販売管理システムにデータはあるのに、なぜ活用できない?

売上も在庫もわかる。それなのに、次の行動が見えない

アパレル企業では、日々さまざまなデータが蓄積されています。

どの店舗で、何が、いくつ売れたのか。

どの商品が、どの店舗に、何点残っているのか。

販売管理システムを確認すれば、こうした数字を把握できる企業は少なくありません。

ところが、その情報を実際の売上アップや在庫削減につなげられているかというと、話は別です。

「売上実績は確認している」

「在庫一覧も毎日出している」

「必要なときはExcelで集計している」

それでも、こんな疑問が残ります。

「もっと売るために、今日何をすればいいのだろう?」

今回は、販売管理システムに蓄積されたデータを、どうすれば次の行動につなげられるのかを考えてみます。

目次

本当は売れていたかもしれない商品

例えば、あるアパレル企業に100店舗あるとします。

人気商品のMサイズが、A店では完売していました。

一方、B店には同じ商品が10点残っています。

A店のお客様がその商品を買おうとしても、在庫がなければ購入を諦めてしまうかもしれません。

しかし、事前にB店からA店へ商品を移動できていたら、販売できた可能性があります。

これは「機会損失」、つまり本来得られたかもしれない売上を逃してしまうことです。

もちろん、B店でもこれから売れる可能性がありますから、単純に余っている商品を移動すればよいわけではありません。

店舗ごとの販売ペースや今後の需要を見ながら判断する必要があります。

こうした判断を適切なタイミングで行うことができれば、会社全体の売上や在庫効率は変わってくるはずです。

何百店舗、何百品番を人の目で判断できるのか?

店舗が5店舗、商品が10品番程度であれば、ベテラン担当者が状況を把握することもできるでしょう。

しかし、300店舗、500品番になったらどうでしょうか。

しかも、アパレル商品にはカラーとサイズがあります。

例えば、500品番に対して5カラー、5サイズがあれば、それだけで12,500種類の商品になります。

これを300店舗で扱うと、単純計算で375万通りの店舗別・商品別の組み合わせになります。

もちろん、すべての店舗で全商品を扱っているわけではありません。

それでも、膨大なデータから、

  • どの店舗で何が売れているのか
  • どのサイズが不足しているのか
  • どの店舗に在庫が偏っているのか
  • どの商品を移動すれば売上につながりそうか

を担当者が毎日読み取るのは簡単ではありません。

実際には、経験豊富な担当者がExcelを加工したり、複数の帳票を見比べたりして判断しているケースもあります。

しかし、それでは担当者の経験や能力によって結果が変わってしまいます。

データを持っていることと、データを活用できていることは違うのです。

集計表が欲しいのではなく、次の行動を知りたい

これまでの販売管理システムは、必要なデータを正確に集計し、表示することに重点が置かれてきました。

例えば、「店舗別商品別売上一覧」を出力する。

「商品別在庫一覧」を出力する。

それらをExcelに取り込んで比較する。

これは間違った方法ではありませんし、集計機能は今後も必要です。

ただ、担当者が本当に知りたいのは、一覧表そのものではないのではないでしょうか。

例えば、

「A店ではこの商品が欠品しそうです」

「B店には同じ商品の在庫が多く残っています」

「販売ペースを考えると、B店からA店へ5点移動することを検討してはどうでしょうか」

ここまでわかれば、担当者は次の行動を考えやすくなります。

もちろん、店舗間移動には輸送費や移動日数もかかります。実際の判断には、こうした条件も考慮する必要があります。

それでも、膨大な一覧表の中から問題を探す作業が減るだけで、担当者の負担は大きく変わるはずです。

まずは「見える化」から始める

私たちが今、注目しているのがBIツールです。

BIツールとは、販売管理システムなどに蓄積されたデータを、グラフや色分けされた一覧などで直感的に確認できる仕組みです。

例えば、売上が好調なのに在庫が不足している店舗や、販売ペースに対して在庫が多すぎる店舗を画面上で確認できるようにする。

さらに、商品や店舗を選択すると、サイズ別・カラー別の状況まで掘り下げて確認できる。

これなら、複雑な集計条件を設定したり、Excelで何度も加工したりする必要が減ります。

最初から高度なAIを導入する必要はありません。

まずは、担当者が知りたい情報を、必要なときにすぐ確認できる環境を作ること。

それが第一歩だと考えています。

見える化の先にあるAIの活用

そして、ここからがさらに面白いところです。

例えば、BIツールによって店舗ごとの販売状況や在庫の偏りが見えるようになったとします。

次は、

「在庫の偏りを自動で見つけてほしい」

「店舗間移動の候補を提案してほしい」

「欠品による機会損失が発生する前に知らせてほしい」

といった要望が出てくるかもしれません。

そこで初めて、AIの活用が具体的になってきます。

販売実績、在庫数、販売ペース、納期などの情報をもとに、AIが改善候補を提案する。

最終的な判断は人が行い、その結果を次の分析や提案に生かしていく。

こうした仕組みが実現できれば、販売管理システムは、単に実績を確認するためのものから、日々の判断を支援する仕組みへと進化していきます。

最後に

販売管理システムには、企業にとって貴重な情報が数多く蓄積されています。

しかし、どれだけ多くのデータがあっても、それを見て次の行動につなげられなければ、十分に活用できているとはいえません。

私たちシステムを提供する側も、これまで「どんな集計ができるか」という視点で機能を考えることが多かったように思います。

これからは、そこから一歩進んで、

「その数字を見て、担当者が何を判断し、どんな行動を起こせるのか?」

という視点を大切にしたいと考えています。

必要なのは、もっと複雑な集計表ではなく、次の行動につながる情報なのかもしれません。

次回は、BIツールを使うことで、日々の業務が具体的にどう変わるのかをご紹介したいと思います。


インネット株式会社|アパレル業務改善ラボ

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